認知症の経済的負担は?

2017年8月のアメリカの医学雑誌の論文です。
この記事の要約です。

認知症の経済的負担

認知症の治療は基本的に進行予防と投薬治療になるので、経済的に大きな負担はかからないと思われがちです。

しかし、認知機能の低下により、転倒しやすく骨折や捻挫になったり、動けなくなることによる、床ずれや肺炎、長期の入院、寝たきりになる場合もあります。

認知症になると約32万ドルかかる・・アメリカの場合

2017年8月アメリカの医学誌に、認知症による経済的コストに関する論文が掲載されました。
認知症を発症した人と発症しなかった人を比較して、認知症になった場合のコストを検討したものです。

結果です。
研究対象で認知症と診断された人の平均年齢は83歳でした。

認知症患者の生涯にわたるケアコストは、$321,780です。
(日本円で約3600万円)
家族の負担としてはその70%にあたる、$225,140でした。
(約2500万円)
認知症患者にかかる生涯費用は、認知症でない人より$184,500高いという結果でした。
(約2000万円)

日本における認知症コスト

日本の場合、国民健康保険に加え、介護保険も制度化されています。
高齢になり認知症が発症してしまうと、多くの介護費用と介護する人に負担がかかります。
日本において認知症の方をケアする場合、どのくらいのコストが掛かるのでしょうか。

たとえば、要介護度5で特別養護老人ホームへ入所している場合は月額約10万円、
ユニット型個室の場合は、さらに月額1-2万円高くなります。
その他の介護サービスについては別途費用がかかります。

介護付有料老人ホームになると、さらに高額になり、月額約12―30万円になります。
また、入所時に多額の一時金がかかるところもあります。

自宅介護の場合でも、家族が介護することになりますので、費用面以外に実際に介護する負担がかかります。
また、訪問介護にも数万円がかかります。

このように考えると、アメリカに比べれば日本の介護コストは低いですが、
それでも、多額の負担がかかってくるのは確かであり、経済的観点からも認知症予防に努めることが大切でしょう。

認知症の経済的負担