特養待機者急減 要介護者、奪い合い 

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特養待機者急減
要介護者、奪い合い 施設空き出始め

毎日新聞2016年6月30日

数年間の入所待ちが当たり前だった特別養護老人ホームの待機者が大幅に減り始めた。軽度の要介護者を門前払いにし、民間の施設や自宅での介護に回す国の政策が形になり始めた格好だ。一方で要介護度が低くても世話の大変な認知症の人が特養を利用できず、公費を投じた特養の一部に空きが出る矛盾も出ている。【斎藤義彦、稲田佳代、榊真理子】

よそより一刻も早く−−。
特養の多い地域では要介護者の争奪戦が始まった。

「“営業”しないと入所者数を維持できない」
東京都青梅市の特養「和楽ホーム」の宮沢良浩施設長は打ち明けた。
ホームは都心から1時間の山あいにある。かつては都心から希望者が来たが今、待機者は最盛期の300人から100人弱に。このため5人の相談員が毎月、在宅介護の関連施設を回り入所を働きかけている。

資金も十分で入所要件を満たすのは、100人中3人しかいない。
「今は結構です」。入所を告げても断られることが増えた。空きを待つうちに他施設に移る人も少なくない。青梅市は地価が安いため特養が約23カ所も建ち、競争は厳しい。

待機者が減るとスムーズに入所が進まず、施設に空きが出る。
東京都高齢者福祉施設協議会の調査では、回答の4割にあたる95の特養が「稼働率が下がった」と述べた。
昨年4〜10月の平均稼働率は94・9%で、都内で2200人分のベッドが空いていた計算になる。

埼玉県では空きのある特養が3カ所ある。どれも新設で、人手不足もあり満床にするのに1年以上かかるという。
ある施設長は「要介護度の低い人や低所得者のニーズに応えられていない」と指摘する。

北関東に住む60代の夫婦はともに認知症だ。夫は要介護2で老人保健施設に入ったが、いつまでいられるかわからない。支援する社会福祉士は「本当は特養に入れたいが漂流するしかない」と悲観的だ。

待機者減の背景には介護保険の利用者負担増もあるとみられる。
国は一部のサービス利用料を1割から2割負担とし、特養の入居費や食費の軽減措置も削られた。「認知症の人と家族の会」の田部井康夫副代表は「部屋代や食費が上がり月4万〜5万円負担が増えた人もいる」と打ち明けた。

他の民間施設の激増もある。急成長したのは、国が法改正で11年に政策誘導して作ったサービス付き高齢者住宅(サ高住)だ。税制優遇と補助金で今春、20万戸以上に達した。

「金がなくなれば出て行かざるを得ないし認知症になるといられないことが多い」。サ高住について、老人ホーム入居相談大手の担当者はそう話す。要介護度の高い人を受け入れる施設もあるが、サ高住は「終(つい)の住み家」になりにくい。

待機者減の一方で、行き場のない高齢者が増える恐れもある。
来年度までに515人分の特養を増設する予定の北九州介護保険課は「業者の参入意欲も弱く計画が未達成になる可能性もある。待機者減が続くなら、整備を控えることもありうる」と話した。

元記事(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160701/k00/00m/040/092000c

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今まで、特養に入るのは狭き門といわれていましたが、最近は流れが変わってきたようです。

・特養経費、自己負担額の増加
・特養施設、民間施設の増加
・介護職スタッフの人手不足

特養にも入れない貧困高齢者はどうなるのでしょうね。
願わくは、自宅で介護されないうちに静かにあの世に行きたいです。
ぴんころ地蔵にお参りしようかな。(@´_`@)