神戸の特養で、元ホストの男性が介護職員として、入所者の人気者になっているそうです。
人をおもてなしするという点では、同じなのかもしれませんが、
元ホストの湯本さんは、気遣いが人気のヒミツのようです。
2017/6/6 21:50 神戸新聞NEXT
ネオンから特養へ 気遣い抜群 元ホスト湯本さん
ホストから介護福祉士に転身した男性が、神戸市内の特別養護老人ホームで入所者から人気を集めている。9年前、祖母の入所がきっかけとなって転職。「笑わせるのが上手」「目と目で気持ちが通じる」と男女を問わず高評価で、男性は「相手を気遣い喜ばせるのは、ホストも介護も同じ」と話す。(貝原加奈)
神戸市西区の特別養護老人ホーム「大慈弥勒園」に勤める介護福祉士、湯本亘さん(31)。高校卒業後、「やりたいことが分からない」とアルバイトを転々としたが続かず、友人とバイクの改造やゲームをして遊んだ。20歳になり、友人の誘いで神戸・三宮のホストスナックで働き始めた。
酒を注ぎ、飲み、歌い騒ぐ日々。夜10時から、翌日正午まで接客が続くこともあった。それでも「いろんな人と話をして、自分がどんなに酔っても、相手を気遣う仕事を面白いと思えた」と振り返る。
23歳の時、祖母の入所がきっかけで、同施設で職を得た。湯本さんは「ずっとできなかった親孝行のつもりだった」と話す。大好きな祖母は2012年に他界。その後の15年、施設長の勧めで、介護福祉士の資格を取得した。
介護の仕事と向き合う覚悟ができたのは、ある男性入所者の一言だった。「娘が結婚することになった」。普段は寡黙な男性の言葉を聞き逃さず、車イスで東京の結婚式に連れて行った。男性は今でも感謝の言葉を口にする。「介護の可能性を感じた瞬間だった」。
現在は認知症の高齢者ら68人が入所するフロアで勤務する。上司や同僚からは「元ホストなんてうさんくさい」と冗談交じりにからかわれるが、仕事への信頼は厚く今年4月、現場をまとめる副主任を任された。
湯本さんが歩けば、次々と入所者から呼び止められる。「家族のように面倒を見てくれて最高」と80代の男性。80代の女性も「おなかがすいたなあと思っていたら、目が合うだけでご飯を運んでくれる」と満足そうだ。
湯本さんは「相手に頼まれる前にできて初めてサービスになる。ホストも介護も本質は変わらないと思う」と爽やかに笑った。