施設見学 その1

4月から始まった認知症介護生活も、8月になりました。

母の介護認定は「要介護3」です。

8月の猛暑の中、高齢者施設を見て回ることにしました。

特養は申し込んで何年もしないと順番が回って来ないと思い込んでいました。
特養に入れるまでのつなぎに民間の安い施設を利用するつもりでした。

家から近い、電車利用でも1時間以内。
入居一時金は100万円以下
月々の経費は20万円くらい
看取りまでしてくれること

など、いくつかの条件に当てはまる施設を見学しました。

グループホームはアットホームで居心地が良いといろいろなサイトに書いてありました。
近くのグループホームに電話してから見学に行きました。

新興住宅地のはずれにあるホームはこじんまりした2階建てでした。
しかし、ここには母を預けたくないと思いました。

入居のおばあさんたちがリビングで、車いすのままグッタリしていました。
誰も目を開けていなくて力が抜けたようでした。

女性スタッフたちは体育会系のノリでキビキビしていますが、優しさを感じられませんでした。
すごく冷たい感じでした。

サ高住(サービス付き高齢者住宅)
数件、見学しました。
認知症も対応しますよとのことでしたが、これからどんどん進行していくのに大丈夫かな~?という不安がつきまといました。
頭も身体もしっかりした高齢者なら、ここでの生活を楽しめそうです。
中にはデパートまで歩いて数分の施設もあり、友人同士で連れ立って外出するグループを見かけました。
退屈しないように、いろいろなイベントが盛りだくさんで、私も入りたいと思う施設もありました。
安くて人気のあるこれらの施設は、どこもほぼ満室で、空き待ち状態でした。

ある施設から、ここの入居者が特養に入れることになったのでしばらくすると空きができますが、どうしますか~という話が来ました。

私が気に行ったところだったので、体験入居を予約してきました。
施設によっては、1週間くらいの体験入居を安い費用でさせてくれます。
これは好都合。ショートステイの代わりに使おうと思いました。

空きを待っている間に、住宅系の会社が運営している施設を見学しました。
少し部屋が小さくて、窮屈な感じ。

サ高住の部屋の大きさはビジネスホテル並みです。
9㎡から12㎡くらいでした。
室内に洗面所があるのが普通ですが、トイレは共同が多かったです。トイレも室内にあるところもありました。

この施設は室内に洗面所もなくて、スタッフも慣れていない感じでした。
入居者も楽しそうではありませんでした。

それでも今すぐ体験入居できるというので、1週間申し込みました。
第一印象どおり、母は疲れ切って帰宅しました。

何も言いませんでしたが、スタッフが親切でなく、食事やお世話もいまいちだったようです。
しばらくグッタリして、寝たり起きたりの日々が続きました。

半月で10カ所見て回りました。

(疲れたのはアンタだけじゃないよ。バアサン、あたしも超疲れたぜい)

最後の手段は施設に入れること。

ショートステイで当分つなぐことをあきらめたので、母の終の棲家を探すための情報収集を始めました。

介護本やネットで、老人施設のことを調べました。
初めは、種類の違いが分かりませんでしたが、少しずつわかるようになってきました。

便利なサイトがいくつも見つかりました。

HOMES介護 老人ホーム・介護施設の種類と特徴
http://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/

みんなの介護 はじめての老人ホーム・介護施設ガイド
http://www.minnanokaigo.com/guide/

しかし、写真や説明文だけでは実際のイメージがつかめません。
ぼけたとはいえ、大事な母親の命を託すのですから、慎重になります。
お金もかかります。

早くしないと、仕事にも行けず、わずかな貯金も食いつぶしてしまいます。

そこで、実際に見て回ることにしました。

ショートステイを利用した。

春休みに遊びに来ていた息子が、おばあちゃんが心配だからと田舎に帰らずに、私が仕事で出かけるときは、家で気をつけてくれていました。

しかし、いつまでも居るわけにも行きません。
母の症状はひどくなる一方。

水の出しっぱなし、電気のつけっぱなし、火のつけっぱなしは当たり前。
フラフラと出歩くこともしばしば。
昼夜逆転。
夜中に炊事するので、夜も熟睡できません。
階下で音がするとハッとして目が覚めます。

母が5月もデイサービスに行きたがらなかったので、ケアマネがショートステイを利用しましょうと言ってくれました。

紹介された所と契約を交わし、6月に利用することになりました。
もう疲れ切っていたので、事前見学もしませんでした。

当日、送迎の車に二人で乗り込みました。
母に言うといやがるだろうから、お泊まりの荷物は小さくしてこっそり車の荷物入れにいれました。

到着したのは巨大な老人ホームの一角でした。
母には、良いところが見つかったから見学に行こうとだけ話してありました。

通された個室はTV、洗面・トイレ付きで居心地が良さそうでした。
母がそこのスタッフと話しているすきにこっそり帰りました。

一週間は極楽でした。
家や母のことを忘れて、ちょっとした旅行やショッピングを楽しみました。
車で送られてきた母は何事もなかったかのようでした。

荷物を片付けて落ち着くと
「私なんであんな所に放り込まれたのかしら~?」と言いました。

私は、「お母さんがデイに行かないから、ケアマネさんが刺激がないと良くないって心配して手配してくれたのよ~」と言いましたが、何のことだかわからなかったようです。

そこのスタッフがとても親身になってくれて、あの人に会いに行ってお礼が言いたいとしきりに言っていました。

しかし、そこも2回目は混んでいて多床室になってしまいました。
4人部屋で、夜中に大声で騒ぐ人がいて眠れなかったとプリプリ怒って帰ってきました。

3回目も多床室しか空きがなく、今度は頭から湯気が出そうに怒って帰宅しました。
「もう絶対にあんなとこ、行かないよ~!!」

ケアマネに頼んでも、個室は早くからの予約でいっぱいで、私の力ではどうにもなりませんとのこと。

ああ、これ以上は無理だなあ~
ショートで当分行けるかと思ったけれど、もう最後の手段を考えなくては。

デイサービスを利用した。

取りあえず、ケアマネさんのすすめで、そこのデイサービスを利用することにしました。
このままでは、介護者が疲れてしまうと満足な介護が出来なくなるし、
母がどんな事故を引き起こすかわかりません。

先日も、線路内に迷い込んだ認知症の方が電車にはねられて亡くなりました。
電鉄会社からは損害賠償の請求が数百万円来たそうです。
泣きっ面に蜂とはこのことですね。

我が家は線路の近くです。
母は身体は丈夫で遠くまで歩いて行けます。

デイサービスを利用するのも結構大変でした。

二人で見学に行き、施設内を見学し、説明を聞いて帰る。
後日、ケアマネとデイサービスのスタッフがやってきて、契約書を読みあげ署名捺印をする。
費用の引き落としに、口座振り替え用紙を記入、銀行に提出する。
その後、ケアマネが1ヶ月のケアプランを作成して持ってくる。
それに基づいて、週何回行くか決める。

慣れるまでは週2回にしました。

母は「なんだかわからないけど、忙しそうだね~」
と来た人にお茶を出していましたが、誰も飲みませんでした。
(規則なのかな?)

行く日は朝8時頃、
「これから迎えに行きます。すぐ出られる準備をしておいてください」
と電話があります。

この靴じゃいやだ。
この服は地味で格好悪い。
傘を持っていこうか?
帽子がいるかもしれない。
何時に帰れるんだろう?
やっぱり、行くのをやめようか~

直前になると、子どものようにいろいろ言い出して、
送迎車が待っているのに、
なかなか玄関から出て行こうとしませんでした。

無理に引っ張り出して、車に押し込みました。

当時の記録を見ると、4月は3回、5月1回、6月2回、7月2回、8月0回でした。
初めはみんながちやほやしてくれましたが、だんだんそうでもなくなると、疲れる、昼ご飯が美味しくない、ペースが会わないとごねて行きたがらなくなりました。

今まで、一人で好き勝手に生活していたのだから、当然です。

ケアマネが翌月のプランを持って来たときに、泣き落として、やっと指切りげんまんで約束させていました。

これからの流れ

これからの流れを箇条書きにしてみました。
こんな順序で書いていこうと思います。

・デイサービスを利用した。

・ショートステイを利用した。

・私が仕事に行けなくなった。

・最後の手段は特養に入れること。

・特養の情報を集める。

・さまざまな老人施設を見学する。

・特養に入所申請をする。

・特養によって対応はさまざまだった。

・特養から現状を見に来てくれた。

・特養のショートステイを利用する。

・幸運にも空きが出た。

・入所を決心する。

・入所手続き

・入所後の母の状況